2013/04/08
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※SPAM防止のため捻ってある

Dell Latitude D420をPA6007(MSATA2ZIF)でmSATA SSD化する

■はじめに

本文書は、今となってはもう骨董品の Dell Latitude D420を、mSATA SSD載せて もうちょっと使えるようにしよう!というアホ企画について述べる。

Dell Latitude D420はDellのA4ノート(※B5ノートと言い張ってるようだが、A4サイズの 紙とぴったり同じ大きさなのにB5ノートとはどういうことかDell)。 2013年現在既に退役軍人状態で、 アキバではジャンク屋で一万円以下で売られていたりもするが、 まぁそのアレだ、色々入ってて他のマシンに移行するの面倒だからという ただそれだけの理由で、少なくともXPがサポート切れになるまでは延命を考える。

なお、同じ方法が、VAIO PとかVAIO Uとかにも使えるはず。

■前知識

Dell Latitude D420のHDDは、 1.8インチの東芝MK8009GAH。 これのコネクタはZIFという、いわゆる40PINのIDEをフラットケーブルにした ようなもの。このコネクタのHDD/SSDは非常に少ない上に、数が出てないから極めて 高い(例: SSDの場合)。 だから、容量増やしたい!と思ったときにも、気軽にストレージを アップグレードできないのが、こういう1.8インチHDDを使った機種の悩みだった。 悩みというかもう絶望的というか。

ところが、今頃になってナイス逸品が発売されたために状況が一変する。それは、 Sintech Electrironic Co. LTD の PA6007。mSATA SSDをZIFに変換できる上に 1.8インチHDDより小さいイカスアダプタ。これがため、最近リリースされている、 大容量で高速かつ安価なmSATA SSDを、1.8インチHDD(ZIF)と換装することが可能に なったのだ。

このアダプタはいろんなところで入手できる。

最も簡単なのは、もちろんProjectM。入手できればいいが、いつも品薄で、我輩も 入手できなかった。 我輩はUS Amazonで購入したが、結構時間かかるのでやきもきした。最後のは… なんか知らん企業でモノ買うのは怖いなーって。

というわけで、このPA6007を使って、Dell Latitude D420をSSD化してしまおう、という のが、このページの趣旨だ。

「えー、ちょっと高くてもフツーの1.8インチSSD(ZIF)買えばいいじゃん」という ご意見はごもっとも。そういう人はこのページ読まなくてよろしい。こういう無駄 作業は、なんというか…男のロマンなのですよ。それに、mSATA SSDにしとけば、 いよいよD420を廃棄することになった時に、このSSDを別の用途に使うことができると いうメリットがあるのは大きいしね(ZIF SSD買っちゃうと、載せるところがなければ もう捨てるしかないというか)。

■SSDとPA6007を組み合わせる

今回はSSDとして、 プレクスターの128GB M5M(PX-128M5M)を用意した。双璧だった CrusialのM4 mSATAに比較すると、以下のような特徴がある。

WinXPで使うときは、Trimコマンドが無いから、寿命が長いっちうのは結構大きな メリットになる。あと、実装例が無いっちうのは、うまいこといけば個人的な 満足感が大きいというか。

PX-128M5MとPA6007を並べるとこんなカンジ。

聞くところによると、SSDとPA6007が接触してショートして壊れちゃう、という話が あったため、じゃぁ、ということで、我輩は間に一枚紙を敷いた。どのくらいの 隙間があるのかと思ったら、組み合わせた状態で紙が全く動かないので、ホントに接触 しているか、あってもその隙間は極めて小さいことがわかる。可能ならこういう 対策をしておくことを強くオススメする。

組み合わせた写真はこちら。間に紙が一枚入っているのが判るだろうか。

■D420のバラしかた

…って解説要る?正直、D420に限って言えば、HDDへのアクセスは極めて簡単なので、 あんま注意点は無い。 写真は以下の通り。赤丸の二点のネジを外せば、HDDを外すことができる。 とはいえ、全部を外す必要はない。HDDをガワから出してHDDに繋がるケーブルを 外すだけなので、フラットケーブルを本体から取り外す必要もない。

分解するならこんな手順で。

  1. バッテリを外す
  2. HDDを固定している金具の二つのネジを緩める(ネジはぽろりと外れなくなっていて親切)
  3. フラットケーブルを切らないように、HDDを慎重に引き出す
  4. ラバーケースからHDDを引き出し、ZIFコネクタからフラットケーブルを抜く

そうだねぇ、注意すべきことといえば、ZIFコネクタの抜き方かなぁ。ずばり 「ひっこぬく」。普通はケーブルをホールドするための小さなプラスチック板が ついてて、ソレを倒したりする(PA6007にはある)ものなんだけど、 東芝のHDDにはそんな女々しいものは無いらしい。男らしくグイっとケーブルを 引っ張って抜くこと。

ガワを剥くと、HDDはこんなカンジでぶら下がっている。

■PA6007載せる時の注意点

D420の場合、ラバーケースに入れてしまえば、詰め物をせずぶらんぶらんにして おいても困らない。そんなにガクガクしたりしないから、我輩はそのまま使っている。

最も注意すべきは、ZIFケーブルを差し込む向き。PA6007は、基盤の反対側に ケーブル接点がある(※普通のHDDは基盤側にケーブル接点がある)。だから、 HDDとは逆向きに挿さねばならない。つまり、以下のようなカンジ。

また、上で書いたようにケーブルを固定するための小さなツメ(赤印)があるので、 ケーブルを差し込んだらココをちゃんと倒すこと。

あとはガワをかぶせて、元に戻すだけ。簡単。

■その実力

スゴい!速い!今まで4200rpmの1.8インチHDDでゴリゴリ動いてたのと比べると、 あまりの高速さに最新PCを手に入れちゃったのではないかと錯覚しちゃうくらいの 快適っぷり。これは試す価値がある!

でも、HDbenchで見るとこんな。

遅い!遅いよ!…と思うかもしれないが、とにかく今までが遅すぎたので、 体感速度的には十分高速。

■先達の偉業を称えよ!

他の人々も続々と換装に成功(?)してるみたい。よろしよろし!

■おわりに

というわけで、Dell Latitude D420にPX-128M5M+PA6007を乗っけるという アホ所業を敢行してみた。結果は極めて良好。これならWinXPがサポート切れになる 2014/04/08まで十分に戦える。PCを買い換えるようなリッチマンでないのなら、 こういう高速化は考慮してもいい。リスクはあるしある程度の出費は必要だけど、 その価値はあると思う。是非お試しあれ。

…気にしなきゃいけないのは、 PX-128M5MとPA6007とあわせて(円安で)一万五千円を超えるという出費と、 失敗した時のリスクをどう考えるか、ということだけかなぁ。

■おまけ

ProjectMのページ 見るとわかるけど、このコネクタシリーズ、mSATA SSDを 1.8インチHDD(日立コネクタ)とか2.5インチHDD(IDE)に変換するコネクタもある。 これらのHDD乗っけてる人で、安価に最新SSDを使いたい人は、是非試してみる価値は あると思う。こういう、痒いところに手が届くパーツって大好きだ。