2010/10/23
KAICHO: s_naray[at]yahoo[dot]co[dot]jp
※SPAM防止のため捻ってある
BD-1: 20インチ化の注意点
■はじめに
BD-1を20インチ化する場合、注意すべきことがいくつかある。フレームによっては
20インチ化できないこともあるので、ここにイッパツ注意点を書いておく所存ナリ。
なお、ここでは丸パイプフレームを対象としている。最近のフレームは持ってないから
よくわからない。プレゼントしてくれたら追記するよ?
■フロントフォーク
BD-1のフロントフォークには二種類ある。サススプリングの根元の部分に、
フェンダー(ブレーキ?)ダボ穴(?)がついているものと、ついていないもの。
主に、古いBD-1にはダボ穴がついている。
- ダボ穴なし
こちらは何もしなくても20インチ化可能。
クリアランスは3mmくらい
…だったと思う(もう実機が盗難で手元にないのでわかんない…)。
- ダボ穴あり
20インチ化のためには、ダボ穴を削り取る必要がある。ただ取るだけではなく、
前部分は10mmくらい削り込まなければならない。それでもクリアランスは1mmとか
2mmとか。写真は左から、前から見た図、後ろから見た図。かなり削り込まなければ
ならないことがわかって頂けるだろうか。
実は、このダボ穴は18インチホイルに対する
キャリパーブレーキダボ穴として
使用できる。削り取ってしまうということは、
18インチに戻してキャリパーブレーキをくっつけることはできなくなる、
ということだ。その覚悟をまず決めること。
■リアスイングアーム
BD-1のリアスイングアームも二種類ある。ブリッジ位置が低いものと高いもの。
「とても古い」BD-1はブリッジ位置が低い(多分2001モデルから変わったものと思う)。
- ブリッジ位置が高いもの
こちらは何もしなくても20インチ化可能。クリアランスは6mmくらい。
- ブリッジ位置が低いもの
これは20インチ化不可能。タイヤがブリッジに干渉してしまうため。諦めるのが吉。
ブリッジを切断しちゃった剛の者も居るけれど、強度的には
とてもお勧めできない。…ブレーキブースターつければ強度はなんとかなるやろか…?
■ハブ選択
BD-1のフロントのエンド幅は100mm、リアは135mm。フロントエンド幅は
一般的なロード・MTBと同じだが、BD-1のフロントフォークは特殊な形をしており、
ハブのフランジ幅が大きいと、スポークがフォークの内側に当たってしまう。ある程度
フランジが小さいか、ハブ体の幅が小さいものを選択すること。写真の Deore LX(32穴)
だと、クリアランスが1mmとかそのくらい。ワォ。
リアはシマノならMTB用のものが入る。シマノ現行のロード用のハブ幅は130mmなので、
ロード用のものを使いたければ5mmのスペーサーを自作する必要がある(売っては
いないみたい)。スペーサーなしでムリヤリはめても使えなくはないけれど…。
いずれにしてもお勧めはしない。
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■ホイル選択
20インチホイルには、「406」と「451」の二種類が存在する。これは直径を表して
おり、数値はmm表記。なんで同じ20インチで45mmも違うのかはよくわからない。
BD-1 20インチ化で使うホイルは「406」の方。
正しくは、20インチHE(406mm)。451は、20インチWO(451mm)。HEの方が
どっちかというとメジャーみたい。
我輩は、サイクルハウスGIROで
DA16+前後LXハブ(32穴)で組んでもらった。通販でも買えるので便利。
32穴あると、スポーク間隔が狭くなるため、バルブに空気入れがハマりにくく
なることに注意。我輩は体重重いので32穴にしたが、軽ければスポーク数は
もっと少なくていいと思う。…定番のAlex rims A-Class Folexは高いから…。
ところで、20インチホイルで32本もスポークがあると、少々乗っても全くホイルが
振れたりしないのがスゴいですよ?
■タイヤ選択
タイヤは、20x1.10(=28-406)より細いもの一択。
これより太いタイヤでは、折りたためなかったりクリアランスが不足したりするため、
実用できない。実際には、20x1.10でさえ、後輪折りたたみ時にBB下にタイヤが当たって結構キツい。20x0.9は試したことないので不明。
結局、現状では選べるタイヤは『シュワルベのDURANO
(amazonへ)』または
『アルトレモZX(amazonへ)』。
他に20(406)x1.10なんてタイヤ出してるメーカーあったっけ?あれば
そちらも使えるかもしれないが、試していないので誰か教えてください是非。
あと、20(406)x1-1/8でも入るかもしれないけど、こちらも試したことないから不明。
■ブレーキ
20インチにインチアップすると一番困るのがこのブレーキ。ブレーキ台座の位置は
変わらないのに、リムの位置が一インチ上がるため、ブレーキシューの位置を
なんとかズラさねばならない。いくつかの選択肢がある。
- Vブレーキを使う場合
素直な選択。しかし、Vブレーキにもいくつか選択がある。
- PAUL MOTO BMXを使う
とても正統的。昔から使ってる人も多いし。しかし…高いよこのブレーキ!
一組16800円(前後で33600円)ってドユコト!?20インチ化できるのは
ブルジョアのみ、というウワサを世界に広めた張本人。
- Mr. Control のPA-V2ブレーキを使う
モノの写真はこんなの。都内ではY's Road各店で入手できる(多分一番確実なのは
新宿店)。前後あわせて一万円という財布にやさしい台湾製。どう見ても
上のPAUL MOTO BMXをパクってるとか判ってても言わないのが紳士淑女。
我輩もこのブレーキ(+カプレオ舟+DURA-ACEシュー)を使用している。
シュー位置とか左右位置の調整が、この仕組み考えた人刺したくなるくらい
モノスゴ難しいのが難点。シマノは偉かったなぁ。
- Vブレーキインチアップアダプタを使う
LOROからこんなのが出てた。アイディアは我輩も昔から持ってて、
誰か作らないかなぁ、と思ってたので、商品化は喜ばしい限り。
しかし…4個で4725円とはずいぶんとボったもんだ。せめて2000円くらいじゃ
ないか?それと、コレをカマすとブレーキが開き気味になるので、途中で
段差付けて欲しいところ。この価格ならそのくらいの加工はして
欲しいなぁ…。
- 700cトランスファーを使う(例:amazon)
リアだけ(フロントはスプリングトランスファ本体や
Vブレーキ上部が当たるためムリ)ではあるが、
700cトランスファーを使うと、通常のVブレーキがそのまま使える。
ブレーキブースター的効果があり、台座の剛性も上がるので、試して
みるのもよいかもしれない。フロントもできりゃいいのにね。
- RIDEA BAN-FLV LONG-RANGE ADJUSTABLE V breakを使う
やっと出てきた1.と2.の類似品。これはなかなか見栄えがよろしいですな。
しかも価格もそこそこだし。
サイクルハウスしぶやでも売ってるみたいだが、例によってお値段がアレなので
個人輸入した方がいいかもね。こことかからだと、価格が倍半違うという)。
CLVというのもあって、こっちはCNC加工してるみたい。
まぁ…BD-1ごときなら、鋳造(FLV)でいいんじゃないだろうか。
このほかにも「VANGUARD I-20 CNCブレーキ」なんてのもあるので調べてみてくだされ。
あ、ちなみに、いずれにしてもブレーキは開き気味になり、後輪は特に
ブレーキワイヤー端がフレームから出て右靴に当たるようになるので、
当たるのがイヤならケーブル端はギチギチに切ってしまう必要がある。
ワイヤーキャップをかぶせただけで靴に当たるのにはびっくり。
後で調整するとき困るかもしんないけどやむをえない。
一応追記すると、ブレーキ舟のスペーサーの配置をちょっと工夫すると、
あんまり開き気味にならないようにはできる。各自頑張って研鑽のこと。
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- キャリパーブレーキに挑戦する場合
- フロント
我輩自身はフロントをキャリパーブレーキ化したことがないので情報まで。
実装例はこんな。
うーん…台座のスペーサー(斜めにカットする必要がある)作るのが
結構面倒かも。
- リア
リアスイングアームのブリッジ位置が高い場合は、
ブリッジ穴にキャリパーブレーキをくっつけるという方法が使える。
ただ、以下の理由で、この方法であえてキャリパーブレーキ化するメリットは
薄いと結論付ける。悩むくらいならVブレーキでなんとかした方がいい。
一応、「STIで引く時にタッチがいい」
「キャリパーブレーキを既に持っている場合は、お金かけずにブレーキを装着できる」
というメリットはあるが、そのくらい。
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タイヤとのクリアランスがかなり小さく(しかも個体差大きい)、
我輩手元のBD-1で1mm〜2mm程度。タイヤ(28-406)が劣化して膨れてくると、
タイヤがブレーキに擦ってしまう。
少し改造するとましになる模様。頭いいなぁ。
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もともと穴がタイヤ接線に対して斜めに空いているので、沈頭側を広げる
際には(単純に8mmのドリルで広げるのではなくて)
なるべくタイヤ接線に平行になるように偏って穴を広げる必要がある。
ヤスリで気長に広げるのが吉。
-
ストッピングパワーはMr.ControlのVブレーキに比較して落ちる。
それだけならまだしも、雨が降った時は、異常に利きが悪くなる。
止まる気がしないくらい。
105ブレーキにDuraACEシューでコレだから、多分ブレーキ換えてもそんなに
よくはならないと思う。
やっぱ406でキャリパーブレーキはムリなんでは…。
-
ブリッジ部の強度もやや心配。さすがにブレーキの力でねじ切れる
ことはないだろうが、もともとナット止めすべきところを沈頭止めしている
ので、締めすぎるとブリッジが潰れてしまうことに注意。固定力が弱いので、
この方法で止めたキャリパーブレーキは左右に動きがち。
-
ちなみに、リアキャリパーをナット止めするには、
BR-R600の補修部品20番、Y82B98080が必要(500円くらい?)。
シャフト長が長くないといけないし、固定力を分散させるために、
このスペーサーが必要なんですよ。
…とはいえ、スペーサーはブリッジ径が13mm程度を対象にしているらしく、
BD-1のブリッジ(φ16mm)には少し合わない。
削ればなんとかなるんだろうが…もしくは自作?
ボール盤と旋盤持ってりゃできるかもしれないけどさぁ…。
■STIレバーでVブレーキを引くということ
一般的には「(Vブレーキをショートリーチにするか)
トラベルエージェント(リンク切れ)を噛まさないと引けない」ということになっているが、
正直に書けば、そんなものなくったってSTIレバーでVブレーキは引ける。20インチ化
するとブレーキ舟位置が上がるので、(ショートリーチ化に近いため)
特にSTIレバーにやさしい。
あとは個人的な好み。やたらめったら調整がシビア(ホイルとブレーキシューとの
クリアランスをモノスゴ小さくする必要があり、ホイルが少しでも振れるとアウト)
なのと、引いた時の「もわん」とした感覚を許容できるかどうか、
ということにかかっている。我輩は許容できるので、
そのまま使っている。カプレオ舟にDURA-ACEシューを使っていれば、
制動力は十分だと思う。
■BB位置が上がることに注意
20インチ化で最も困ることは実はこれ。BB位置が一インチ上昇するので、スポーティな
ポジション(サドルが高い)だと、足つきが大変悪くなる。当然発進・停止も難しく
なってしまう。この覚悟は最初からしておくこと。
■おまけ:スタンドをつける
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我輩は、
ユニコのBikeguy QRスタンドの、足を5cmほど切って使っている。
高さはそれで大体いいカンジ。4.5cmだと足りなかった。
余裕見て5.5cmくらい切った方がいいかも。
20インチ化していればこれで使えるが、多分このスタンドは長さ的に18インチには
使えまいな(一番短くしても長すぎる)。
結構頑丈なのは助かる。本体は全部鋳造で、足の先部分だけがプラスチック、
間の伸縮するバーは直径6mmのスチールx2本なので、本体は思ってたよりホント丈夫。
サビに弱いのが玉の瑕。あと、跳ね上げた時にスタンド先がタイヤに近づかないから、
狭い場所を通り抜けようとして縁石でスタンド先を擦ってしまうことがよくある。
下限のペダルが通らないところだとスタンド擦ると考えていい。ちょい困る。
がっちりしすぎて、擦った時に直接フレームに衝撃が伝わるのも困る。
まぁ…許容できない範囲じゃないけれど。
■ところで
走行性能を上げたいなら、実は20インチ化によるメリットはそんなに大きくない。
BD-1を20インチ化することによるメリットは、えーと、自己満足?
正直あんまりないと思う。走行性能を上げるなら、20インチ化よりも、
18インチのままでの細身タイヤへの交換と、
フロントスプリングをスーパーハードへの交換、
リアサスのリジット化の方が効果は大きい。
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