本文書は、「折り畳んだらエンド金具になるリアキャリア(Ver3.5)」の制作に関するメモである。
なお、本作では輪行とは縦型であって、横型ではないことに留意されたし。エンド金具が出てくるんだからワカルダロ的な。
最終的にできたものはこんな感じのもの。折り畳める支柱の上にTopeakバッグ用のレールを搭載し、加えて末尾にエンド金具になるオマケをくっつけたもの。
キャリア部分の重量は766g。一方Topeak MTX Beamrack + エンド金具(クイックなし)は764gなので、ほぼ同じ。 後述するメリットを考えると、導入は十分アリだと思う。
![]() |
|
![]() |
![]() |
折り畳むとこんなカンジ。折り畳む時は前三角の頂点を支点として支柱が回転し、エンド金具部分がそのまま後輪車軸部分に移動、クイックで締め付けることでガッチリ固定される。まずズレたり回転したりしないので、リアディレイラーが確実に保護できる。そして接地部分の幅が広いので自立可能。
このキャリアで既に列車輪行・飛行機輪行をそれぞれ複数回ずつ、加えて付けたままビワイチなども経験しているが、今のところトラブルはない。
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
このキャリアを導入するメリットは以下。
一方デメリットはあまりない(…と思う…)。無理に挙げるなら以下くらい?
これらが呑める人にはとても良いキャリア+バッグの選択肢になると思う。
とにもかくにも「輪行の手間がめんどくさい!」というのが動機。TopeakのBeamrackを愛用し縦型輪行で旅行している身からすると、輪行とは以下のような手間がかかるものであって。
長ぇ!そしてキャリア等は固定してないで放り込んでるだけなので、輪行袋中でガッチャガッチャ動いて色んなものを傷つけてしまう。加えて、通常のエンド金具には以下のような弱点があって、コレも輪行時に困る。
特に二番目。リアディレイラーを保護するために付けるのに、役に立たないことが多いというか。
これらをなんとか解決するワンダホな方法はないものか?とずっと考えていた。で、最終的に「折り畳んだらエンド金具になるリアキャリア」を作ればいいのではないか、と思い至ったのであるよ。
汎用のリアキャリアを完全に0から作るのは難しい。ので、今使ってるTopeakのMTXトランクバッグDXが載せられるようなものを考えた。 つまり、Topeak MTX Beamrackの代替品のようなものを作ることにする。可能ならパニアバッグ搭載のためのレールや、マッドガードを後付けできるような仕組みも同時に考える。
支柱がなくサドルに直接括りつけるタイプの大型サドルバッグがあるのは承知している。そっちの方が軽量だし。けれど、アレは以下が難点で、今回は却下。
なので、最終的には、TopeakのBeamrackを発展させたようなキャリアを作ることにした。 「エンド金具になる」「折り畳める」「バッグの取付取外しが楽」などの要求仕様を満たすため、以下の3パーツで構成する。
モノとしてはかなり単純。前三角は三角形であるが故に丈夫だし、カーボン板を導入すれば強 度を保ったままある程度の軽量化も実現可能だろう、と期待。
実際のモノは上で述べた通り既に完成しているので、ここでは必要な材料をざっと列挙する。ネジ類は全て揃ってるかどうか不明なので、作りたい方は臨機応変に。本当は試行錯誤の跡とかも残した方がいいのかもしれないが、モノスゴ長いこと試行錯誤してて全部書き出すのさすがに面倒なので残さない。各サイズは今回の自転車に合わせているため、皆様がお使いの自転車用には微調整が必要かもしれない。
| 名称 | サイズ | 個数 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| アルミフレーム 20x20 | 1000mm | 1 | 1400円+250円(カット代) |
今回は本体としてS-Funを使った。 実際には、1000mmから以下のサイズに切り出して使用する。切り出しは、購入したDIY店のカットサービスを使うとよい。DCM稲城押立店は1カット50円でやってくれるので大変助かった。
|
| アルミフレーム用のコネクタキット | - | 1 | 1515円 |
上のアルミフレームを固定したりなんだりするためのもの。 SFunDブラケットSSタップ付やGFun STナットSS M5を買ってもよかったのだが、重量や価格の面でこちらの方がよさそうだったので、こちらにした。なおGFun STナットはアルミフレームに食い込むように凹凸があり、これが「ナットの位置固定には有効だがフレームを傷つける」ので注意。一方こちらのキットのナットは、精度はイマイチだがアルミフレームに食い込むような凸凹はなく、フレームに優しい。ただしステンレスではないので錆に注意 |
| ダボ穴付きシートクランプ | 自転車のシートクランプに合わせたサイズ | 1 | 1500円 | 前三角の一端の固定用。今回はGIZA PRODUCTSのΦ34.9mmのものを買った |
| ダボ穴付きシートクランプ(不要なことも) | 自転車のシートポストに合わせたサイズ | 1 | 1500円 | 前三角のもう一端の固定用。自転車のちょうどいい位置にダボ穴があるなら、それを使えばよいので不要。今回の自転車にはダボ穴がないため、シートポスト上にダボ穴を新設するために用意。 今回は SPC リアキャリアシートポストクランプ ブラックを購入。シートポストが31.6mmなので、Φ31.8mmのものを入手。このフランジ部分をヤスリで削って、シートポスト中段にクランプし、ダボを増設する |
| カーボン平棒 | 2.0x20x500mm | 2 | 2374円/2本 | 前三角やエンド金具部の「×」など、アルミフレームの固定に使う。最初はユニクロ金具だったのだが、軽量化のためにカーボンを使うことにした。 以下の6パーツに切り出す。全部160mmなのは偶然。
|
| M5x20mmステンレスボルト | - | 4 | 50円/本 | 前三角の回転軸部分のボルト(x2)、及びアルミフレーム末尾の当たりゴム止め(x2) |
| M5x10mmステンレスボタンキャップボルト | - | 6 | 30円/本 | 前三角のカーボン棒をシートクランプに固定するボルト。ボタンキャップボルトなのは少し軽いから |
| M5貫通ノブナット | Φ30mm | 1 | 145円 | 回転する本体の、折り畳み前の固定用 |
| M5x40なべネジ | 1 | 80円 | 上のノブナットと組み合わせて、回転する本体の固定用 | |
| Topeak OMNI Quicktrack Adapter | - | 1 | 2750円 | MTXトランクバッグを載せるための土台として |
| M5x14mmステンレス皿ボルト | - | 4 | 30円/本 | Topeak OMNI Quicktrack Adapterをアルミフレーム(500mm)に固定するために |
| 当たりゴム | Φ30mm程度 | 2 | 150円/個 | 輪行時の接地部分の保護に。少し重い。もっと軽くて丈夫なものがあれば… |
| 総額 | 12314円 | 高ッ!実際には色々試行錯誤してるので、総費用はこの三倍くらいかかっている | ||
写真見てテキトーに組み立ててネ!でもいいんだが、色々注意点とかもあったからメモを残しておく。とはいえ、こんなの実際作ってみないと文章読んだだけじゃ理解できんですよね知ってますよモゥ。
自転車のフレームと本体(アルミフレーム)を接続する前三角は、2x20x160mmカーボン平棒四枚から構成される。
エンド金具部分は、アルミフレームとカーボン平棒を組み合わせて作成する。アルミフレーム(160mm)がエンド金具の接地部分を、カーボン平棒の「×」がエンド金具の高さを、アルミフレーム(130mm)がエンド金具のシャフト部分をそれぞれ担当する。
今回はクイックシャフトをベースにしているので車軸部分はアルミフレーム(130mm)にΦ5.4mmで貫通穴をあけたものになっている。もしスルーアクスルに対応させるなら、アルミフレーム(130mm)を適当なもの(142mm)に変更する必要があるだろう。
カーボン平棒は写真のようにクロスさせる。ネジ止め位置を調整することで、エンド金具の高さ(=アルミフレーム(160mm)とアルミフレーム(130mm)の間隔)を変更することができる。これにより、ロングゲージのリアディレイラーだと地面に当たる、のような問題を回避可能。
![]() |
![]() |
ここからは位置調整が必要になるため、自転車を、後輪を外した状態で吊り下げ式のメンテ台に固定して作業することをお勧めする。
この状態で、リアキャリアは折り畳んだ状態になっており、縦置きにできるはず。実際に縦置きしてみて、リアディレイラーが地面に付かないか、どこか干渉するところはないか、不具合はないかなどを確認すること。 アルミフレーム(500mm)を前三角の頂点を軸に回転させ、長すぎる場合は前側を少しカットする。
アルミフレーム(500mm)は、地面と平行になるように固定する必要がある。固定には、 前三角の左右に渡したアルミフレーム(40mm)を使う。ここも現物合わせが必要な箇所。
自転車に合わせて調整が多すぎるのが難だが、これで、アルミフレーム(500mm)が前三角に固定できた。輪行の時は、ノブネジを外してアルミフレーム(500mm)を回転させることで、エンド金具部のクイックを通す穴が「ちょうどいい位置」、即ち自転車の後輪車軸部分くるはず。
どうしてもアルミフレーム(500mm)が水平にならない場合は、シートポスト上のクランプ位置を少し上下させることで角度を調整することができる。
![]() |
![]() |
あとは、M5x14の皿ボルトx4で、アルミフレーム(500mm)にTopeak OMNI Quicktrack Adapterを固定するだけ。アルミフレームの負担を軽減するには、できるだけ前よりに付けた方がよい。現物合わせでどうぞ。
写真のアダプター上の茶色いものは、ダイソーで買った「すべるシール」。そのままだとTopeakのバッグがカタカタ遊んでしまったので、隙間を埋めるために貼った。このあたりも現物合わせなので、皆様の環境に合わせて調整してくだされ。
![]() |
十分実用できるものが出来て大変に満足。「こうすればもっと軽量化できる」「もっと便利になる」というご意見あれば是非お知らせください。
正直、どこかのメーカーさんに作って頂きたい。素人が作るよりずっと丈夫で軽量化できるだろうから。Topeak、Gorix、ミノウラあたりの中の人、ドウデスカー!