2014/05/21
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※SPAM防止のため捻ってある
好き好き大好き接着剤
■はじめに
本文書は、自転車の修理に便利な接着剤・充填剤(=パテ)について、
好き勝手に嗜好を述べるという、迷惑千万なページである。
主にシューズドクター。アイラブシューズドクター。
■接着剤・充填剤の要件
自転車をメンテナンスする上で、接着剤・充填剤が必要になることはあるか?
という疑問をお持ちかもしれない。うむ、ある。あるのだよ諸君!たとえば
以下のような時に、強力な接着剤・充填剤は必要となる。
- サイクルコンピュータのマウンタが折れた
- CATEYEライトのブラケットのライト側が割れた
- ボトル台座に固定するバッテリのボルト穴付近の強度を上げるために、プラスチックに1.5mm厚アルミ板を接着したい
- タイヤに貫通穴が開いてしまった or 深い傷がついてしまった
え、そんなの接着剤でどうにかなるのん?というのもあると思うが、
ソレを接着剤でどうにかしちゃおうというのが本文書の趣旨である。
このような要望に応えるためには、接着剤・充填剤は以下のような要件を満たさねば
ならない。結構ハードル高いですね。
- 少ない面積の接着面でも、引っ張り強度が高い
- 路面からの振動に負けず、対衝撃強度が高い
- 薄い接着面ではなく、パテのように充填できる
- ある程度の柔軟性がある
■二液混合型エポキシ系接着剤
フツーの人は、各社が出してる一般的な二液混合型のエポキシ系接着剤を使うだろう。
あんま短期間で硬化するヤツは衝撃に弱いので、数時間で硬化するヤツが
お勧め。接着面が広く、綺麗で、適当に荒れている(=食いつきがよい)のであれば、
そこそこ強力で実用できる。
弱点は、柔軟性に乏しいこと、イマイチ衝撃に弱いこと、
長時間の使用では劣化してしまうこと。特に最後のは結構致命的で、
紫外線に弱いのか、年単位ではボロボロに脆くなって割れて剥がれてしまうことが
多い。このため、自転車の修理にはイマイチ。あんまり日に晒さないか、
数ヶ月程度の期間で頻繁に再修理する箇所になら使ってもいいかもね。
ということで、あんまお勧めしない。
■プラリペア
知る人ぞ知る強力接着剤(?)、プラリペア。
プラスチック同士を「溶かしてくっつける=溶着する」上、
充填用のプラスチック粉がついてて、喪失した部分を整形しながら復旧することが
できる。プラスチック同士の接着や、プラスチックの割れ修正、穴の充填などには
強力無比。是非ググル先生に聞いて、世の中の「え、こんなトコにも使えるのん?」
という例を見て欲しい。
反面、弱点も非常に多い。まず、価格が高い。そして、液体+粉で構成されるため、
扱いが難しく、狙った整形も困難。
あと、部屋で作業したら死人が出るくらい、液体がやたらめったら臭い。
またこの液体が、使ってなくてもすぐ蒸発して無くなる。
極めつけは「プラスチック以外は接着できない」という使い勝手の悪さ。
プラスチックでも、エンジニアリングプラスチックはダメ、など、対象を選ぶ。
なので、「使えるプラスチック」には最強だが、そうでなければ最弱と言っても
いいかもしれない。
■シューズドクター
これが、セメダイン社が提供しているシューズドクター。
本命登場。もともとは、磨り減った靴底を充填するものなんだけど、
コレ接着剤としても使えないか、と思って使ってみたら思いのほかよかったので
紹介。よかったというか、これ以上の逸品は存在しないんじゃないか。
ということで、そのスバらしさを延々と述べてみる。
- 安い
50gモノが900円、20gモノなら550円。DIYの店で買えば更に二割引くらい。
これだけ安ければ、さくさく使っても全然惜しくない。
- 入手性が高い
フツーのDIY店にはまずある。靴屋さんでも売ってる。手に入らないなんてことは
まずないだろう。
- 強力な接着力
異様に強力な接着力にメロメロ。どんだけくっつけちゃうのか。
その上モノの柔軟性が高く(固まると硬質ゴムになるため)、対衝撃能力は極めて良好。
ボトルホルダに固定するでっかい鍵(切断警報付き)を
接着したとき、エポキシ系接着剤では数ヶ月で剥がれてしまったが、
シューズドクターだと二年経って全く問題ない。HL-EL530のLED交換した時にも
使ったが、殻割したプラスチック部分をくっつけるのにも大活躍。強度的に
全く問題ない。
- 充填剤としても使用可能
もともと靴底充填剤なわけで、パテとして利用可能。モノ自体は硬化すると
「ちょっと硬いゴム」になるので、プラスチック同士の接着に(欠損部の充填作用も
期待しつつ)十分利用できる。我輩は、傷がついたロードタイヤの応急的な補修に
使うことがあるが、ちょっとした穴ならバッチリ塞げるし、そのタイヤで走っていると
(磨耗はするけど)一ヶ月程度は平気でもち、充填部分が自ら剥がれるような
ことは殆どない(充填量が多いとありうるけど)。
もちろん、コレはあくまで応急修理であって、恒久的には使えないよ!というのは
断っておく。…正直かなり使ってるけど。
- なんでもくっつく
ある程度表面を荒らせば、異種材だろうがなんだろうがくっつく。上のでっかい鍵は
アルミとプラスチックを接着したが、特に問題はない。
表面が荒れていないとダメなので、ガラス同士の接着は難しいかもしれないが、
それを除けばくっつけられないものは無いんじゃないか。
- 殆ど経年劣化しない
今のところ、劣化で剥げたことはない。数年程度なら大丈夫と思う。
ね!?スゴいでしょ!?もうコレを使わないで何を使うというのか!というくらい
スバらしい接着剤・充填剤なんでスよ!
とはいえ、冷静に考えると、弱点はある。以下はソレを述べてみよう。
- 固まるのが遅い
完全硬化には24時間以上かかる。
エポキシ系接着剤とどっこいくらいだからいいじゃんという広い心を持っておくこと。
- 固まる前の整形が難しい
通常状態では粘度がいまいち高くないため、充填・整形が必要な箇所に使った場合に
整形が難しい。整形用にヘラは付いてくるけれど、ソレ使っても上手な形を作ることは
結構困難だ。いっそてんこもりにしといて完全硬化まで待ってから、
リューターとかで削った方がいい。
- 固まった後の整形が難しい
なんだよ固まった後も整形難しいのかよ!と言われたらうんそうだねと答えるくらい。
言えば硬質ゴムなので、紙ヤスリで削ったりハサミで切ったりするのがかなり困難。
彫刻刀で削ったり、棒ヤスリでゴリゴリしたりすればなんとかなるかしら、くらい。
リューターもビットを選ばないとうまいこと削れなかったりするという。
- 長期保存できない
一番痛いのがコレ。
セメダインのFAQページ見たら、「使い切り商品とお考えください」とか
書いてあるし。50gのシューズドクター使い切るってどんだけ靴底減らしていると
いうのか。ただまぁ、回避策はある。面倒だが、しっかりキャップを閉めること、
そしてノズル部分が固まったら、ノズルからドリルツッコんでその固まった蓋を
取り除くことで、数ヶ月単位で使えなくはない。
- 手に付いたらなかなか落ちない
バカにしてると痛い目に遭うよ。やわらかいうちならこすれば落ちるが、固まると
数日くらいホントに取れない。瞬間接着剤よりも丈夫なんじゃなかろうか。
ある意味頼もしい。
- 色が濃い
黒と白とベージュしかないので、たとえば赤い部品を補修した時にも、
補修部分はこの色になってしまう。後から着色できるかどうかは不明。
硬質ゴムに着色可能な塗料なら大丈夫だろうけど。「透明」というのがあれば
よかったんだけどねぇ…。
- 硬化後もガチガチには硬くならないので、そういうのが必要な箇所には使えない
硬質ゴムだから、つまり硬質プラスチックのようには硬くない。硬化後も
ぶよぶよしてるのがわかるくらいの肌触りだし。
これはまぁそういうものだと割り切ればよろし。接着面が広く接着後の肉厚が薄い
のであれば問題にならないし、プラスチック同士の充填接着ならシューズドクターにも
十分な強度があるから大丈夫だろう。
■おわりに
というわけで、シューズドクターのスバらしさを皆様に宣伝するページでした。
本来の用途と全く違うじゃんと言われたらその通りで、コレについて
セメダイン社になんか文句言ったり賞賛したりするのは筋違いなんで
そっとしておいてください是非。
ところで「セメダイン」ってなんかロボット製造してる会社みたいで強そうだよね!
前世はきっとターミネーターT-800。