2014/08/06
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1700円で実用的なハブダイナモ用LEDライトを作る

■はじめに

本文書は、2000円で強力なハブダイナモ用LEDライトを作る を参考に、じゃぁ安価で実用的なライトを作ろうよ、と考えてやってみた結果を 紹介する。

重ね重ね断っておくが、我輩の電子工作知識とレベルは中学生レベル以下だってば!

■前知識

詳細は前の文書参照。 ここに、以下の変更を施すことにする。

LEDをXP-E + XM-L2の二灯構成としたことが、前回までと大きく異なる。 正直、XP-G一灯でも明るすぎて、市街地走るときは完全にオーバースペック。 そこで、市街地走る用にXP-E一灯を、郊外の暗いところ走る用にXM-L2を合わせて 点灯させるようにしてみることに。

■用意するもの

今回は以下を用意してみた。総額1700円くらい。高ッ!XM-L2高ッ! 二灯そろえるとそれだけで1500円超えちゃうので、一灯をXP-Eにするのは妥当だと思う。

品名型名価格備考
プラスチックケース SW-65 125円 アキバのパーツショップで購入。45x25x65mmのプラスチックケース。 耐熱じゃないんだけど、今までの経験からなんとかなるんじゃないかなって。
ハイパワーLED Cree XM-L2 U2(20mmφヒートシンク付き) XM-L2 U21A 750円 秋葉原LEDパラダイスで購入。市販品ではもっとも明るいモノのはず。500mAでは230lm程度。購入した袋には XM-L2 U2と書いてあるのに、なぜかレシートには「XM-L T61A」って書いてあってなんか不安。
ハイパワーLED Cree XP-E Q4(20mmφヒートシンク付き) XP-E Q4WN 180円 秋葉原LEDパラダイスで購入。 やっぱりこの程度がお安くてよろしい。街中走るにはこれで十分、500mAで150lm程度
CREE XM-L用レンズ(10°) x1 ? 200円 XM-L(XM-L2も寸法同じなので使える)用集光レンズ。 LED Ecology Webshopで購入。 コレかな。 アキバLEDパラダイスではXM-L2用の10°のレンズって売ってないんだよね… 売ってくれりゃいいのに。
CREE XP-G/XP-E用レンズ(10°) x1 XP-XPG-10 100円 集光レンズ。秋葉原LEDパラダイスで購入。正直、今回の用途でなら、 拡散角度が15°のものでもいいかもしれない
ダイオードブリッジ 200V 1.5A W02G 340C 50円 千石電商で購入。アキバで、この程度のショットキーバリアダイオードブリッジはどこに売っているのだ…?
電解コンデンサ 16V 2200uF x2 50円 x2 前回までから耐電圧性をちょっと下げた(25V→16V)。これでも問題ないみたい。 耐電圧製を下げると、同じ容量でもコンデンサの物理サイズが小さくなって、 実装しやすく(加えて衝撃や振動に強く)なるので選択。正直容量は1000uFでいいと 思うけれど、まぁ念のため。
ショットキーバリアダイオード 35V 1.5A 30円
RCA端子(♀) 60円 確か千石電商三号店2Fで購入
赤黒コード 1.6mmφ 10cm 0円 あまってた切れ端を使用
ロッカースイッチ KCD1-C1-203051BB 96円 マルツパーツ本店で購入。二回路二接点(On-Off-On)のスイッチ。これで、一灯・二灯が切り替えられるようにする
0.7mm厚アルミ板(60x40mm程度使う) 0円 家に転がってたのを使用。多分東急ハンズ謹製
熱伝導性両面テープ 30x30mm x2 たぶんコレ 0円 前買って残ってたのを使用。LEDをアルミ板に貼るのに使用する。10x7mm x2程度しか使わない
アクリル板(41x25mmのみ使用) 30円だか60円だか 東急ハンズで、「アクリル小物入れの仕切り版」としてバラ売りされてたのを切り出して利用。両面に保護シールが貼ってあって透明部分が保護されてて、作業中に傷がつきにくくなっててとても助かる
3x10mmボルト+ナット 0円 おうちに転がってたのを利用
TSキャップ呼び径13 32円 DIYの店で購入。フツーの塩ビのTSキャップ。 形的に、多分積水化学工業のコレ。三菱のと比較して、底部分が丸くなってるのがポイント。コレだとBD-1のリアのリジッド化には使えないが、今回の用途、庇(ひさし)にするのは便利そう。 内径が18mmちょっとで、そのままケースに空けたLEDレンズの穴径にぴったり。
シューズドクター 0円 おうちに転がってたのを利用

■さて、作るぞ!

…といっても、作り方は前回までと全く同じ。 回路は末尾の改良版をそのまま使用した。 小さな注意点はいくつかあるから、それを以下に示す。

●レンズ外形を削る

今回はちょい小さいケースなうえ、レンズの大きさがXP-E用は23.3mm、 XM-L用は21.0mmと大きさが違う。XP-E用は四隅をレンズギリギリまで削り、 XM-L用は三隅を適当に削る必要があることに注意。それに合わせて、 ケース(SW-65)に開けるレンズ用の穴の位置も微調整すること。我輩は ヤスリでゴリゴリ開けたので微調整はしやすかったが、穴の形がちょいいびつなのと とにかく疲れたのが印象に残っているというか。いずれも穴の直径は18mm程度。 「蓋を付けた状態で」ケースの中央に開口するよう穴を開けること。 なお、レンズに合わせて蓋も一部削らないといけないことにも注意。

●前面にアクリル板を接着する

レンズを装着して固定できたら、その後で44x24mmにアクリル板を切り出して、 レンズ保護と防水性向上をかねて、ケース外側にシューズドクターで貼り付ける。 傷を付けないように注意。事前に作業しないのはアクリル板に傷が付くのを少しでも 防ぐため。透明アクリル板ってホント傷付きやすいのよね…。

●庇(ひさし)を作る

前方対向車/者への眩惑を防ぐため、庇(ひさし)は絶対に必要。 今回は、街中走行用に一灯(XP-Eの方)のみ庇を付けた。 郊外の暗いトコを走行するときは、庇なしXM-L2のフルパワー照射で100m先まで バッチリ見えるようにするとかそんな。

作るときのコツは、「ライトを自転車に設置して、前方水平方向から見た時に、 ライト中央のLED部分が隠れるように、庇前方を下方向に張り出す」こと。 具体的にどういうことかは下の方にある現物の写真参照。 庇部分は、TSキャップをかなり「浅く」抉った(=庇を深くした)形だが、 今回は1/3程度中心が見えるように作ってしまったために、 これでも正直前方への眩惑はかなり大きい。作り直そうかしらん…。

庇の接着は相変わらずシューズドクター。事前に接着面をアルコールで掃除しておけば 無類の接着力を発揮。ビバシューズドクター。ラヴシューズドクター。

■モノはこんなカンジ

以前のものより一回り小さくなった。 …比べるものがないとわかんないよねそうですよね。 庇部分の浅いカットに注目せよ。

■点灯させてみる

うーん、やっぱり、XP-E一灯のみ + 庇だと、今までと比較して暗いのは暗い。 街中では必要十分だろ、と言われたらまぁその通りなんだけど。物足りない気が するのは分かるが、街中用、ということでここはぐっと我慢。実際、 光量不足だと思うシーンは無かった。

一方、XM-L2側も点灯させた二灯体制では、もうなんか明るすぎてよくわかんない 状態に。さすが強力XM-L2、これならホントに100m先の歩行者も見つけてしまうかも しれん。ただし、眩惑が激しいので、これは街中では使えない。ホントに郊外の、 暗くて街頭もなく対向車もないような場所でのみ使うこと。

点灯状態はほぼ前回と同じなので記載しない。

ただし、発熱がやや大きい気がする。XP-G二灯までは、走行中にケースを手でもっても 暖かいかどうかよくわかんないくらいの発熱だったが、今回ははっきりとケースが 暖かい。40℃くらいだから、「熱ッ!」ってほどではないが。 これはXP-Eの効率が悪いからか? XM-L2の発熱が大きいからか? はたまたケースが小さくなって放熱が追いついていないのか? ただまぁ、それ以上熱くなることはなかったので、 きっとケースも耐熱プラスチックじゃなくて大丈夫なんだろう、多分。

XM-L2は電流を3Aまで流せるが、コレはハブダイナモなので500mA程度までしか 流せない。だったらXP-E(1Aまで)で十分では?と思うかもしれないが、同じ500mAでも XM-L2の方が段違いに明るいので、明るさが欲しいならそこはケチらないで、 イイLEDを買うべき。新しい型の方が発光効率がいい上に熱が出ないしね。 あとはコストパフォーマンスと相談。

■おわりに

お金に余裕がある人は、XL-M2x二灯のライトにしてもいいと思う。 明るすぎるので、よっぽどのことが無い限り街中で二灯点灯する必要はないし、 一灯目は庇部分で随分減光されるのでなんだか損した気分だ。 だから作例では一灯目にはXP-Eを使った。 そして、その意味で、一灯・二灯の切り替えスイッチは必須だし便利だ。

多分これで自作LEDライトシリーズは完結。作ってみて思ったのは、以下の二点。

明るいライトを作ることはできる。しかし、自転車用のライトとして実用に足る機能を持たせるのは、自作だとちょいしんどいなぁ、というところ。なんというか、結論としては、「自作するより、自転車用のライト買ったほうがいいよきっと」というそんな。いや、我輩は楽しかったからいいんだけどさ。