SENSAH EMPIRE PRO 12s 導入記で述べたように、リアディレイラーには「クランクを逆回転するとチェーンが外れ、以降正回転させても元に戻らない」という致命的な問題がある。これをなんとかしようと頑張ってみた。
このページの情報は一切無保証! こんなもん作って万一壊れてRDをホイールが巻き込んだらエラい事故になっちゃうので、 そういう覚悟がある人以外はやっちゃダメよ!あと我輩はアナタがどうなっても知らんよ!
以下の画像のように、リアディレイラーからチェーンが外れることがある。そして、一度こうなっちゃうと、手作業でディレイラーをよっこいしょって後ろに引っ張ったりしない限り、どうやっても元に戻らない。外れた位置によってはリアディレイラーのインナープレートやプーリーをガシガシ削ってしまう。スゲー困る。
チェーンが内側に外れる | そして傷だらけに |
---|---|
これは、SENSAHのリアディレイラーのインナープレート形状が、「チェーンが内側に外れた時に元に戻すようになっていない」ことに起因すると思う。上の写真やここのこれでインナープレートの形状が確認できるが、内側にチェーンが外れた時に無力そうなのが判る。シマノのRD(例えばRD-R8000(Amazonリンク)のこれ)はインナープレートがガイドプーリーを覆うように作られており、こちらはちゃんと考慮されている模様。さすがシマノ…!
ことほど左様にインナープレート形状が悪いのだから、ソレを変更する以外に対策はないと思う。 シマノのRDがそのまま使えるならRDごと交換しちゃえばいいんだけど、残念ながら SENSAH EMPIRE PRO 12sは他社製品と互換性がないとのこと。
…自作するか!それしかないなら!全く手間をかけさせやがるぜ…!(なんか嬉しげ)
インナープレートを外して紙に写す。最も重要なのは、プーリー間の距離。何度も測って、75.0mmであることを確認。他の形はまぁテキトーに書き写して、これを基本の型紙とする。
続いて、ガイドプーリー周りを大きく取る型紙を描く。ガイドプーリーを覆うように、半径25mm程度のプレート延長を考える。
で、これが手元のアルミ部材(2.5x100x100mm)に収まるように配置を考える。100x100mmなのは、2.5mm厚のアルミ板というのがとても入手しずらく、モノがあったYahooショッピングの購入元のショップでそのサイズしかなかったため。 でもよーく見るとQ&A欄に「100x200mmでも買えます」って書いてあった…しまった。
いずれにしても、型紙作ってた時は100x100mmに収めるために四苦八苦していた。なんせギリギリだったから。仕方ないから、一部欠損してもいいやという気概だった。実際、作ってみると、プーリーを覆う部分が一部欠損している。残念。でもこの時点では「コレでも大きいかな…大きすぎたら削ろう」と思っていた。
できた型紙をアルミ部材に糊で貼り付ける。今回は穴位置の精度が命なのでまず最初にそこを入念にチェックしつつ穴をあける。失敗したら部材を90°回転させて再チャレンジする予定だったが、今回は奇跡的に一回でうまくできた。
イイカンジに穴があいたら、電動糸ノコで切り出し。こういう用途には電動糸ノコがとても良い。使ったのはスゴく古いRYOBIのポータブル電動糸ノコ。多分PROXXONのソレのOEM。あらかじめ型紙に切削油をかけてしみこませておくと、切る時に切削油ちょいちょい追加したりしなくてよくなって楽。
で、できたものがこちら。右のオリジナルと比べると、ガイドプーリー周りが大きくなっていることが判る。丸く削ろうかと思ったが、結構固いし機能的には問題ないから削らず放置することにした。問題あったら改めて考える予定。テンションプーリー前方の曲げ加工は、手持ちの工具では難しかったので諦めた。
合わせてみるとイイカンジ。
組み込んでみた。やっぱりもう少しガイドプーリーを覆いたいところだが、今回はまぁコレでいいやと妥協した。スポークとのクリアランスはオリジナルの時と同じ1mmくらいのまま。
スゴくイイ。 クランク逆転しても、リアディレイラーでチェーンが全く外れなくなった。 強度的にどうかという話がないわけでもないが、A5052なので強度はそこそこあるものと期待する。そして、もがいたり坂登ったりしながら数十km走って、全く問題はなかった。「全く」だ!スゲぇ!
今まではクランク逆転時の扱いが「非常に繊細」だったのが、リアでチェーン落ちしなくなって「少し繊細」くらいに改善できたのは大きい。これなら実用には十分だ。
「少し繊細」なのは、アウターローでクランク逆転させた時にフロントのチェーン落ちはあるため。それはもう回避できないんじゃないかな…。
ご意見や情報、誤情報訂正要求(根拠つき)などは募集中。 掲示板経由でも メール経由でも構わないのでどうぞ。